あ、そうだ!
「サイさん!」
慌てて彼を呼ぶと、私の方を振り向きながら首を傾げる
「あの、これ持って行って下さい」
ベッドに畳んだ扇李の羽織りを胸に抱えサイさんに差し出す
本当は借りた私が返したほうがいいのかもしれないけど
扇李と会える機会なんてほとんど私にはない
現に昨日だって久しぶりだったんだ
そんな私と羽織りを交互に見てニコリと怪しく笑う
「ご自分でお返しになっては、いかがでしょう?」
「え?」
予想外の答えに思わず首を傾げる
わ、私が、自分で?
「いや、確かにそれが一番いいのかもしれないですけど、私は扇李と会う機会があまりないですし」
サイさんは扇李の御付きだから、いつでも会えるんだし…
「え、そんなことはありません。沙優様は花嫁なんですから、私に言ってくださればいつでも会えます」
「…え?」
そうなの?
私ってば、ってきり…扇李には必要最低限、会えないと思っていた
右汰も左汰もそーゆうこと言わなかったし、扇李本人もそんなことは…
なんて、扇李が言うわけないか…
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