あれ…院長様は10分くらい前にお風呂に行ったはずじゃあ…


どうしたんだろう?


頭にハテナを浮かべながら近づくと院長様の顔が申し訳なさそうに歪んだ


「どうしたんですか?」

「えぇ、それがね…娘が少し怪我をして入院しちゃったの」


「え?」


院長様の娘さん…愛さんだ


愛さんも私は知っている。院長様の娘さんだし小さい時からよく遊んでもらったし、結婚した今でもたまに連絡をくれるから


「大丈夫なんですか?」

「えぇ、命に別状はないんだけど…心配で。敦くんもいるんだけど心配で」


敦さんとは愛さんの旦那さんだ。そう、だよね…たった一人の娘さんだもの


「分かりました。行ってきてください」


もう夜だし、みんなを寝かせて戸締まりをすれば終わりだ


「有り難う、明日の昼には帰ってくるから朝ご飯だけお願いするわ」


「はい、分かりました」

私がそう言うと、院長様は軽く笑い急いで玄関に走って行った



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