「…っ」
ひどく鋭い瞳が私を見下ろす
負けたらダメだ、怖いけどここで目をそらしたら駄目な気がする
そう思う気持ち一心で私は扇李を睨んだ
「そんな怯えながら睨む目など、恐くない」
「………っ」
「お前は必ず後悔する、俺の言う事を聞かなかったこと」
「後悔なんかっ、しない」
「そうか?俺には現実に遭遇して泣きながら俺に助けを求めるお前が目に浮かぶ」
そんなことっ
「しませんっ!離して…っ」
扇李の腕を力いっぱい押して、彼から離れる
「なら、お前が思う道に進むがいい。それが破滅の道だとしても…」
「っ」
扇李は最後にそう言うと、スッと透けるように柵の奥に入っていく
なんなのよ…っ
なによ!アイツ!
怒りが込み上げて来てイライラする
だいたい、資格ってなによ…そんな物、持ってる覚えもない
せっかく、一人で寂しいと思ったからりんごだって持って来たのに、来なければ良かった
あんな神様…いや、嘘つき神なんてほっとけば良かった
院長様にも話さなければ良かった
「………っ」
胸がモヤモヤする
失うものか、あそこを…子供たちを、院長様は私が助ける
扇李の言葉なんかしらない!
ギュと服を握りしめて、持って来たりんごを手にとり、私は一気に山を降りたのであった
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