「おい、沙優」


「ぇ!?…は、はぃ」


「すぐ近くに右汰がいる、今すぐにアイツと宮殿に戻っていろ」


「…え?」



突然、私から手を離し背中を押してここから去る事を促す扇李


い、いや、こんな窮屈な場所が逃れられるのは、嬉しいけど…なんで急にそんなことを言うの?




「…でも」



そんなの嫌だ。帰りたくなんかない


だって、なんか、この二人に流れる空気が嫌だ


いなくなったら、今にも喧嘩しそうで…不安が私を襲ってきて…


思わず、不安そうな顔をした私に扇李が口を開く


「喧嘩などしない。だから行け。邪魔だ」


「はは!花嫁に邪魔なんて可哀想に」


「………う」


邪魔って…確かに邪魔かもしれないけど、なんか、なんか!



「…扇李…」


「早く行け」


虫を払うような仕草を私にむけ、視線を呉羽さんに戻してしまう


「………あ」


なにそれ、心配してるのに


まるで興味のなくなった玩具みたいな態度に寂しくなりながらも、私は彼に言われた通り、ソファーから立ち上がった