扇李とはまるで違う、なんて言うか、その彼だけ世界が違うみたいで


「………」


無意識に彼を見つめていると、その彼と視線がからみニコリと笑われる


「…あ」


「初めまして、扇李の花嫁様」


ソファーに座る私の前に礼儀正しく膝まつき、軽く頭を下げてから再び視線が合う



「私は、有栖呉羽(くれは)です」



有栖…呉羽?


有栖って、確か…サイさんが言っていた、冥界の王様の名前…?


「あ、は、はじめまして。沙優と言います」


「沙優様か。扇李の花嫁なら、これから会う機会は多い。よろしくな」


低い位置から、そっと手をさしのばされる


あ……


「よ、よろしくお願いいたします…」



有栖さんに頭を下げて、片手を差し出そうとした瞬間―…












ガシッ―…


「…え?」


「……………?」


差し出された手が、扇李によって、力強く掴まれてしまう


「ちょ、扇李?」


「おい、沙優に触るな」


「…」


は?何を言ってるの?


「ちょ、扇李…?」


呼び掛けても、私を見ることなく、いつものように冷めたような眼差しで呉羽さんを睨み付けてる