ちょ、ちょ、サイさん!
そんな私の叫びは聞かなくバタンと部屋の扉が締められ
シーン――…
と、沈黙が流れた
さ、サイさんの薄情もの!
そう心で叫び、恐る恐る二人をみるとずっと黙っていた右汰さんが"ふっ"と鼻で笑う
「え?」
「なぁ、左汰?これが扇李の花嫁だってよ。無礼者って噂だったからどんな女かと思ったら普通じゃねぇか!」
そう言い、笑いながら私に近付いてくる
な、なにっ?サイさんがいなくなったと、同時に話し出す彼に私は一歩後ろに下がる
「あ、あのっ」
「まぁ、これじゃあ老役も不安になるのは、当たり前だな。確かに色気がねぇ」
私に近づき爪先から頭の先までみて、クスリと笑う
「……なっ」
この人までそんなことを!そんなの、もう言われなくたって、分かってる!
「右汰、それ以上はやめておけ。そんなんでも一応花嫁だ」
「…なっ」
そんなんでも?こ、この人まで!
「いや、左汰。止めておけって、だってコイツ……って、は??」
「え?」
不意に右汰さんが私に近付いた時だった、今まで笑っていた顔から一気に笑みが消える
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