『仰せのままに、お嬢様』《完》

「執事も、ある意味では
家族でございます。

その家の一員なのですから」


「で、でも……」


モゴモゴと語尾の怪しくなる
あたしは、結局もう、
負けてしまってた。


楓さんは運転の隙を見て
一瞬だけこっちを振り返ると、
栗色の髪をサラッと揺らして、


「よろしくお願いいたします」


――言った一秒後にはもう
前を向き、何事もなかった
ように無言でハンドルを
切っている。


(そんなぁ……)


ガクンと肩を落として、
シーツに沈み込んだ。


それからしばらくして、
車は見覚えのある辺りに着いて、


「あ、ここ。ここでいいです」


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