『仰せのままに、お嬢様』《完》

「――本当ですか?

それは、執事としてではなく?」


「………う、うん………」


楓の声が耳に心地よすぎて、
子守唄を聞いてるような
気分になりながらまた答えた。


だけど次の瞬間、ちょっと
だけ我に返る。

――楓の腕にギュッと力が
こもって、今までより強く、
抱きしめられたから。



「ありがとうございます、
リリカ様。

私も、あなたをお慕いして
おります。心から」


左の耳元で囁く楓の声。


いつもどおりの彼の声だ。

でもなぜか……その余韻が、
少し甘い。


「え………?」


ボーッとした頭に、少しずつ
少しずつ、今の楓の言葉が
意味を持って染み込んでくる。


_