『仰せのままに、お嬢様』《完》

慣れるわけないよ、
そんなことっ。

そう思ってても、悲しいかな
口では真逆のことを答えて
しまう。


「……そ、そうだねっ」


もちろん、言った一秒後には
墓穴だと気づいた。
でも、時すでに遅し。


「では―――…」


片方の手が動き、頬に
かかったあたしの髪を
丁寧に払いのける。

そのまま、指先は愛おしむ
ように頬骨の辺りを何度か
撫でた。


「このようなことや……」


(…………っ!?)


ゆっくりと近づいてくる楓の顔。

完全に硬直してるあたしの
頬に、楓はチュッ、と軽い
音をたててキスをした。


「――このようなことを
しても、平気でございますか?」


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