『仰せのままに、お嬢様』《完》

「う…………」


香奈枝ってば、目が真剣だ。

あたしは押し切られて、
渋々香奈枝の言う状況を
想像してみた。


――家が落ちぶれたんだったら、
きっと小さなお家でごく
普通の倹約的な生活をする
わけだよね。

豪邸に住むわけじゃなし、
コースのディナーを食べる
わけじゃなし。

学校だって、自分の足で
行くべき。
執事なんて、絶対いらない。


――楓とは、さよなら――…。


「……………?」


あれ? 何だろう。

今『楓とさよなら』って
考えたら、胸がキュゥゥンッと、
針で刺されたように痛くなった。


楓と別れる。

楓にはもう会えない。

もう、色んな話をしたり、
一緒にお茶飲んだりもできない。


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