『仰せのままに、お嬢様』《完》

「本当ですか――?」


だって現に今、楓はこうして
眠ってるのに。


「本当だ。全てお話する。
我々は――…」



――それから、お爺さんは
話してくれた。


お爺さんはマリーノさんと
いって、イギリスに住む
イタリア系の一家の当主
だということ。

そして彼は、イギリスで
楓が仕えていた家の当主――
不治の病で床についていると
いう老人の、友人だということ。


悲しいことだけれど、先日
とうとう、そのご老人は
天に召されたらしい。

だけど臨終の際に、彼は
マリーノさんに楓のことを
話した。


楓が主思いの素晴らしい
執事だったこと。

でも辛い思いをさせて別れる
ことになってしまい、今でも
その身を案じているということ。


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