『仰せのままに、お嬢様』《完》



◇楓side◇



リビングを出た楓は、同じ
一階にある来客用の別室に
遼人を導いた。


静まった部屋に足音荒く
踏み入った遼人は、胸を
そらせて楓を見ると、


「で、何なんだ、話って
いうのは」


「はい――…」


返事をしながら、楓は
念には念を入れて周囲の
気配を探る。

ドアの外にも隣の部屋にも、
それに窓の外にも人の気配が
皆無なことを改めて確認
すると、ようやく遼人に
向き直り、ゆっくりと口を
開いた。


「お話は――他でもない、
久賀様とリリカ様の縁談に
ついてでございます」


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