『仰せのままに、お嬢様』《完》

最初の何分かは、車内は
無言だった。

けどしばらくすると、
楓さんが静かに口を開く。


「リリカ様。何かあれば
すぐに私に連絡下さるよう、
お願い申し上げていた
はずでございます。

――なぜ、連絡して下さら
なかったのでございますか?」


「え――…?」


ドキッとして正面を向く。

直接は見えないけど、
フロントミラーに映る
楓さんの顔が見えた。


キュッと唇を引き結んだ……
どこか、厳しい表情。


「聞けば、あの男の存在に
気づいてから話しかけられる
までに、若干の時間があった
ようでございます。

その間に、私に電話が
かけられたのでは
ございませんか?」


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