『仰せのままに、お嬢様』《完》

見ると、謎の男の人は
いつの間にかそんな所まで
逃げていた。脇目も振らずに
全力疾走してる感じ。


一瞬、楓さんなら
追いかけるかなって思った。

けど予想に反して、楓さんは
その後ろ姿を見つめる
だけにとどめ、


「深追いは危険でございます」


「……う、うん……」


「あの男はどのようなことを?

危険な目には逢いません
でしたか?」


「そ、それが………」


しどろもどろになりながらも、
香奈枝と今の出来事を説明する。


話を聞き終わると、楓さんも
戸惑いの表情を隠さなかった。


「私のことを――?」


_