『仰せのままに、お嬢様』《完》

すると香奈枝は
もどかしそうな顔をして、


「あの電信柱の所だよ。
男の人が立ってるでしょ?」


「……ああ、うん」


ようやくわかった。

たしかに電信柱に隠れる
ようにして、男の人が一人
立ってる。距離があるから
人相まではわかんないけど。


「あの人がどうしたの?」


「ん。なんかさっきから
ずっと、こっちを見てる
ような気がすんだよね」


「え………」


そんなまさか。

そう思ってあたしは首を
伸ばして、もう一度
その人を見た。


だけどやっぱりよくわからない。


「生徒の誰かを待ってる
だけじゃない?」


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