『仰せのままに、お嬢様』《完》

それで電話は切り、香奈枝に
事情を説明して、一緒に
待ってもらうことにした。


今日はわりと暖かかったから
たいして苦にも思わず、
今日の講義のことなんかを
話していたら――…。


「……ねえリリカ、あの人――」


話を中断して、唐突に
香奈枝が言う。


「――――え?」


香奈枝は前の通りの、少し
離れた所を見ていた。

ちょうど、あたしがいつも
楓さんを待たせてた、一本
隣の通りに続く交差点の辺り。


100メートルくらいは距離が
あるから、あたしは香奈枝が
どこを見てるのかすぐには
わかんなくて、


「あの人って――誰?」


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