『仰せのままに、お嬢様』《完》

だから、あなたの車には
乗りませんってば!

そう言ってるつもりなのに、
どうしてこの人には
伝わんないんだろ。


完全に辟易して、あたしは
頭を抱えたくなった。


だけどあたしの気持ちなんて
これっぽっちも察してない
遼人さんは、今にもあたしに
手を伸ばして、腕を掴んで
車に押し込みそう。


香奈枝と二人で困惑しきって、
校門の側で立ち尽くして
いた時――…。


「リリカ様!」


遠くから呼ぶ声がして、
あたしはハッと声のした
背後を振り返った。


楓さんが、こちらに向かって
走ってきてる。


燕尾服の上に黒いコートを
着ていて、その裾をはため
かせながら、けっこうな
スピードで近づいてきていた。


_