『仰せのままに、お嬢様』《完》

(つい、見とれちゃったよ……)


『何でもないっ』と言い
捨てて、あたしはごまかす
ようにパニーニにパクッと
かぶりついた。


そしたら詰め込み過ぎて
苦しくなって、慌てて
セットのアイスティーを
一気に飲む。


「フッ……」


楓さんが口元に手を当てて、
小さく笑った。


『何?』と聞こうとした時、
すぐ隣で大きな声があがる。


「ああああーーんっ」


「―――――?」


見ると、あたしの隣の
お客さんが連れてる
赤ちゃんが、大泣きしてた。


というか、正確にはあたしの
隣には椅子じゃなくて
ベビーカーがあって、その
中から、泣き声が聞こえてた。


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