☆間奏☆



私はしばらく夜空から舞う冬の踊り子達を眺めていた。


やがて踊り子達は白の絨毯と同化し、儚く消えていく。


息を吐くと真っ白な煙になった。もう冬も本番。


確か残り四日くらいでクリスマスだった気がする。


自分には関係のない一年の行事だけど、それでもやはりその日は待ち遠しかった。


今年のクリスマスは大切な思い出が出来れば良いな。


期待はしていないけどそれくらい望んでも罰は当たらないだろう。


もう何年も前の話だけど母と二人で過ごしたクリスマスはとても楽しいものだった。


お金がないのにの無理して買ってくれた大きなトナカイのヌイグルミ。


もう処分されているだろうけど、出来る事ならここに持ってきたかったなぁ。


もう誰もいない牢の外を眺める。


今夜は本当に楽しかった。このまま時が止まってしまえば良いと思えるほどに。


羽鳥さんに山口さん。二人とも私に優しく接してくれる大切な人。


二人とも、なんだけど、やはり頭の中には一人の看守さんの方が強く残っていた。


ねぇ羽鳥さん。私、本当に貴方に感謝しているんですよ。