別れを告げ、去ろうとしたが舞歌の戸惑いの表情が足を止めた。
強風が窓の隙間から差し込み、柔らかなショートボブを揺らす。
しばらく言葉を待って、怪訝な表情のまま舞歌に訊ねる。
「どうしたんだ?」
「いえ、あの……今日は楽しかったです。それと――本当にありがとうございました」
「ああ、良いさ。私も中々楽しんでいた。あ、あとどうやら本格的に寒くなってきたようだから風邪、ひかないように気をつけろよ」
「――はい」
そうして別れの手を挙げたまま、舞歌のもとを立ち去った。
外にはまだ雪がちらついている。
その雪は再会を祈るようにただ綺麗に――。

