山口は重たい腰を上げ、背伸びをする。
「俺は先に行ってるわ。じゃあね舞歌ちゃん」
「はい。お疲れ様でした」
「ちょっと待て」
さっさと別れを告げて帰ろうとする山口を引き止める。
うんっ?と首だけ捻って用件を伺う山口。
「伝達があると言っただろう。何だったんだ?」
「おっそうそう、危ない危ない忘れるところだったよ。さっき署長が来てね。明日、会議だってさ」
「了解した」
ふぁ~と大きな欠伸をしながら立ち去る山口。
舞歌は立ち止まり、その後姿を眺めていた。
牢の中に目を向ける。
これで今日はお別れ。別に悲しむ事はない。
この仕事を続けている限り夜勤になれば何度も逢えるのだ。
「それじゃあな舞歌」
「あ……」

