一時とは言え、出会い日の出来事を忘却の彼方に置き去られた舞歌は拗ねてしまった。
舞歌の変化に気付けるはずもなく、話を続ける。
三人の話は本当に無駄な話ばかりだった。しかし有意義であった。
人間という人格は無駄の積み重ねで出来ている。
だから三人の話は無駄だけど決して不要なものではなかった。
「じゃあ私からの質問です。お二人って幾つくらいなんですか?」
「俺達?俺は十年前までは二十二歳だよ。羽鳥は――幾つだっけ?」
「三十五だが。それがどうかしたのか」
「えーーーっ!?」
大声で驚く舞歌。
「じゃ、じゃあ私くらいの子供がいても――」
「まぁその場合、大分早めに結婚してなければいけないが、いてもおかしくはないだろうな」
「羽鳥さん、結婚なさってるんですか?」
「どうして、そういう風に話が飛ぶんだ。未婚だよ」
「そ、そうなんですか……」
安堵のような不思議な溜息を漏らす舞歌。
「俺には訊かないの?」と置いてけぼりを喰らう山口が自分を指しているが舞歌の目に入っていないようだ。
脱力する舞歌。
そうか三十五かぁ、そう嘆くように。――――。

