死刑囚に将来の夢を銘記する書類なんて渡されるわけないので、そんな情報、何処で仕入れたのか気になったが。
まぁ山口だから本人から聞いたのだろうと嘆息した。
夢を持った者がその途中で閉ざされた時、自分ならばどの様な気持ちになるのだろうと想像してみる。
すると先程、注意された少女が見せたバツの悪そうな笑顔が浮かんだ。
少女はなぜあの時笑ったのか。
夢を閉ざされ、明日死ぬ日が決まるかもしれない死神を待つだけの悲惨な生活の中での笑み。
それはあまりにも悲惨で滑稽に感じられた。
「ほれっ」
配り終えたカードを一枚一枚手札としてくわえる。
スペードの3と7、ダイヤの1とJ、ハートの7、ワンペアのみのあまり良いとは言えない初手だ。

