月下の踊り子






「…………ごめんなさい羽鳥さん。私ったら見っとも無く取り乱しちゃって」

「良いんだ。気にするな。舞歌も辛かっただろう」



舞歌の瞳から涙が零れそうになった。


落ち着きを取り戻すと、そっと舞歌の方から身を離し、深く深く頭を下げた。



「本当ーーーにごめんなさいっ!私はもう大丈夫です」

「ああ、舞歌のその顔を見れればそれだけで十分だ」

「羽鳥さん。ちょっとだけ牢の外に出ていただけますか」

「ああ、良いけど何をするんだ」

「良 い で す か ら 早く早く!」



言われるがままに牢の外に出る。


何をするつもりだと少し不安になったが、その不安も数秒後に跡形もなく消え去るのであった。



「これは私からのほんの些細な御礼です」



小さく一礼。