「ん~、じゃあ羽鳥にだけ特別に山口さん家のジャンケン攻略法を教えよう。
先ずは自分がどれを出すかを相手に告げるんだ。例えばグーを出すと告げるとしよう。
勝って得する勝負なら大概、相手はグーより強いパーを出すと宣言する。
そこで殆どの人の思考は二パターンに分かれる。
本当に相手がグーを出すと信じて単純にパーを出すのと、相手が裏をかいてチョキを出すと考え、その裏の裏をかいてグーを出すパターン。
まぁさっきでいうと後者が物の見事に羽鳥そのままだな。
と、なると相手はグーかパーしか出す事がない。
だから必然的にパーを出せば負けないって事さ。どうだ?結構、面白いだろう」
確かに面白いって言えば面白い作戦だ。
だが、その作戦にまんまと引っ掛かった自分の不甲斐なさを呪った。
「で、勝者の命令は何だよ?」
仏頂面で訊ねる。
どうせ、コーヒーの買出しに行って来いとか何かだろうが。
「そうだなぁ。よっし、今日の見回りは二回とも羽鳥がやれ」
「お前、それって……」
「んっ?どうした?別に今夜、舞歌ちゃんと仲直りする時間を増やしてやる為に気を利かせてやった訳じゃないんだから気にするな」

