外に出て、茜色の夕日を眺める。
少し冷たい風が身体の熱を冷ましてくれているようで気持ちが良い。
ベンチに腰掛けると煙草に火をつける。徐々に落ち着きを取り戻していく鼓動の高鳴り。
ああ、自分は今、舞歌の事で悩んでいる。
昔の誰に何と思われようとも何の感慨も沸かなかった自分では考えられなかった事だけれど、それだけは確かだ。
不器用な人間なので何をしてやるべきかも判らない。
だがどうするべきか判らず混乱したままでは泥沼に堕ちて行く。
どの道、何も思い浮かばないのだったらこうして夜の仕事まで空を眺めていよう――。
そして夜勤の時間。少し早めに仕事に取り掛かった。
舞歌に逢う見回りまではまだ少しばかり時間ある。
「よぅ。はーとり君。元気にやってるかね?」
「さっさと仕事しろ」
「つれないなぁ」
やってくるや否や妙なくらいにハイテンションな山口に嘆息する。
指には包帯が巻かれていた。全く、殴る勢いが強すぎて自分の指を怪我させてどうする。

