六十七番とは囚人番号。


その数字は先ほどの見回りで注意した一人の少女の事を指している。



「六十七番?あぁ舞歌ちゃんの事か」

「ちゃん、って……」

「まぁ少しくらいは知ってるけどそれがどうかしたのか?」

「いや、少し気になってな。

一個人の論だがあんな少女が法律に殺されるべきかどうか考えるとやはり首を捻ってしまう。

少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年及び少年の福祉を害する成人の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。

昔と違って少年犯罪が頻繁に起きるようになったからって廃止するくらいなら最初からこんな建前みたいな法を作る必要なかったんじゃないかって」



毒づくと山口が虚を衝かれたように眼を丸くする。


少し私の機嫌が悪いように見えたのか「おいおいっお前らしくないな」と軽口でなだめた。



「でもまぁ腐ってるとは思うよ。その所為でいたいけな少女の夢は夢で終わってしまったとさ」

「夢?」

「あぁ舞歌ちゃん。将来、踊り子になるのが夢だったらしいんだ」

「そうか」