月下の踊り子







下手な嘘。


舞歌の唇は乾燥してなんかいなかった。


仮にそうだとしてもあんな切れ方は普通しない。


親指に付着した舞歌の血。


その原因がどうしても気になる。


一体誰にやられたのかが。



「あの羽鳥さん、ごめんなさい。この話、止めません?」



そう言われたらこれ以上は追求出来なくなった。


無理に聞き出す権利なんてあるはずもなかったから。


この話はこれで打ち切り。


それと同時に二人の間に嫌な空気が生まれ、会話も続かなくなり、その場はお開きとなった。