踊りが終わり、一礼で締めくくるとその観客は看守の身分も忘れて、踊り子に惜しみない拍手を送った。 「それじゃ、私は仕事に戻るとする」 「はい。あの、また――」 「ああ、夜勤の時はまた客として舞歌の踊りを拝見させてもらう」 「はい。それではお仕事頑張って下さい」 舞歌は嬉しそうに頭を下げ、「また逢いましょう」と言って手を振った。