「でも、ですね。私は羽鳥さんとお話出来て良かったって思ってます。羽鳥さんって思っていたほど怖くなくって、ううん。話し易い人で良かったです」
「っ――――」
「どうしたんですか。そんな鳩さんが豆鉄砲をぶつけられた様な顔して」
「いや、そんな事を言われるのは初めてなんでな。実際、私と無駄話をするのなんて山口くらいなものだから」
「ええっそれは勿体無い。本当は羽鳥さんって人見知りする私でも簡単に話せちゃうくらいに話し易いのに」
「他者を寄せ付けない壁を造っているのは私自身だからな。それに私は舞歌が言うほど話し上手でもない」
「何で壁を造ってるんですか」
何で?言われてみれば何でだろう?他人に関わる事は好きじゃないから。
本当にそうなのだろうか。だったら今、舞歌と関わっているのは矛盾しているではないか。
「理由なんてない。ただ自然にそうなったんだ」
無難な答えを口にする。

