日の沈み始める頃には本日の全ての仕事を終わらせ、九時から始まる本来予定になかった夜勤に備えて仮眠を取っていた。
これは夢なのだろうか――。
白い女が子供を連れて川で遊んでいる。
川のせせらぎは喉かで、連れの子供は岩場に止まっているトンボを捕まえようと、そろりそろりと息を殺してトンボに近付いて行く。
そんな光景を女は笑顔で眺めていた。
子供はバッと両手でトンボを覆うように優しく捕まえると、誇らしげに女の元まで捕まえたトンボを持って行く。
女がそのトンボを見て何かを呟くと、子供はそのトンボを逃がしてしまった。
川の端まで羽ばたいて行くトンボ。子供はそのトンボに向かって手を振る。
女はその子供の頭をよしよしと優しく撫でた。
その後、白い女と子供は川に足だけを浸して、風を感じながら雑談に興じた。
二人共終始笑顔。それは、とてもとても楽しそうだった。
空が茜色に染まり始めると女は立ち上がり子供に手を差し出す。
子供は女の手を取り、しっかりと柔らかそうな手を握った。
その川を去る時も二人の手はずっと離れる事はなかった。

