この娘も他の囚人と何ら変わらない死刑囚。


男であろうと女であろうと同じ部屋で死の時を待つ運命。死刑囚に人権は無し。よく言ったものだ。


この少女の罪状について同僚の山口から耳にした事がある。


何でも彼女は孤児院にいた頃、或る社会的に有名な富豪から買われた身らしい。


そこで彼女はその屋敷の主から襲われ、殺人を犯してしまったとか。


この場合、正当防衛が認められるべきだが如何せん殺してしまった相手は富豪。


金さえ渡せばそんな物は簡単に排除できる。


例え正当防衛が認められなかったとしても当時十四歳の少女が犯した突発的な殺人の懲罰は死刑に値するのだろうか。


三十年前ならばならなかったであろう。だが今は今だ。


薄いベッドに横たわる少女を確認すると、見回りの仕事を再開した。