月下の踊り子





外は既に月の領域だった。


夜の風を浴びる。


風が強い。突き刺す様な感覚。


見上げた夜空はいつになく綺麗だった。



今夜は満月だ―――。



漆黒の闇の中、真円の弧を描く白い月が鮮やかに舞台を照らす。


その舞台の中心に、いるはずのない踊り手を幻想した。


優雅に舞う少女を私は決して忘れる事はない。


舞歌との思い出が尊い記憶となるように、思い返しては空を見上げた。


なぁ舞歌……。私はお前の為にやれる事は全てやれただろうか?


幻想した踊り子は私の問い掛けに、にっこりと笑みを返してくれた。


その笑顔で私は理解した。自分に出来る事は全てやれたのだと。


少女の踊りは尚も続く。それは決して終わる事のない円舞曲。



雪が――。

月が――。

花が――。



私の心の中で踊り続ける月下の踊り子をいつまでも祝福していた。