黒布を外され、医師が舞歌の死亡を確認すると、舞歌の遺体は霊安室まで運ばれた。
私は医師の許可を得て、霊安室まで同行させてもらった。
霊安室でやっと舞歌と二人きりになる事が出来た。
電気椅子に掛けられたとは思えないほど舞歌の顔は綺麗だった。
ただ生の気配が今は一欠けらたりともない。
手を重ねる。
まだ舞歌の手は温かかった。
重なり合った手を自分の額に宛がう。
走馬灯のように頭の中に流れる舞歌との記憶。
全てが愛しい記憶だった。
「なぁ、舞歌」
名を呼んでも舞歌の返事はない。
「どうして黙ってるんだよ。辛かっただろ。苦しかっただろ。泣き言は私で良ければまだまだ聞いてやるからさ。何か言って、くれよ……」
舞歌の死を受け入れても尚、呼び掛ければ返って来てくれる気がしたのに現実は何処までも悲惨だった。
もう二度とあの声は聞けない。もう二度とあの笑顔を見る事は出来ない。
そして、もう二度と舞歌はこの世界で踊る事が出来ない。

