「私は……どんな理由があろうとも人を殺してしまった事を深く反省してます。母を失って以来ずっと孤児院にいて独りだった私に家族が出来たのに私はその人をこの手で殺めてしまいました。そしてこの場所に来て私は再び独りになりました。でも――」
ゆっくりと瞳を閉じて言葉を続ける。
「でも、こんな私にも構ってくれる優しい人達がいました。羽鳥さんと山口さんです。この人達に出会えて、暗い孤独から抜け出る事が出来ました。この二人の看守さんに私はとても感謝しています」
耐え切れず飛び出そうとした瞬間、山口から腕を掴まれた。「何をする気だ?」小声でそう私に問い掛ける。
山口自信、ぐっと堪えた表情をしていた。
その顔を見て、力が抜けた。
私が飛び出してどうする。
そんな事をして問題になったら舞歌は悲しむに決まっているだろう。
分かっている。でも――。
舞歌の言葉は尚も続く。
思いで語りの様に私と山口に関する話ばかりだった。
「私は産まれてきて後悔した事はありません。それはお母さんが私を産んでくれて、ずっと愛してくれたから。お母さんの笑顔はいつも私を温かくしてくれました。だから私も最後はお母さんに倣って笑顔で言いたいです」
一拍置く。閉じていた瞳をゆっくりと開き――。
「私が出会った全ての人々にありがとうございました、と……」

