月下の踊り子



その場所は見慣れているはずなのにその時だけは異空間の様に感じられた。


石造りの重苦しい雰囲気。


埃の多い殺風景な部屋に一つ、自分が世界の王であるかの様に自己を主張する電気椅子。


死刑囚に有無を言わせずこの世と決別させる罰の究極体。


何一つ部屋自体に変わった様子はない。違うとすれば私自身の心の在り方だけ。


舞歌は未成年なので公開処刑にはならない。


それが唯一の救いかもしれなかった。


もしこの場に舞歌をこの場所へ送った原因である富豪の家族がいれば、きっと舞歌の最後を笑って見てたであろう。


それに耐えられる自信はなかった。