月下の踊り子





ぽんっと優しく頭に手を置かれる感触。


その手は優しく私の頭を撫でてくれた。



「よく頑張ったな。お疲れ様」



その言葉がまるでトランプで作られた山を壊すかのように、いとも簡単に堤防を決壊させた。


私は彼の胸で堰を切った様に泣いた。


今まで溜め込んできた分を全て搾り出すかの様に。


声をしゃくり上げ、小さな子供の様に泣く私を羽鳥さんは優しく受け入れてくれた。


もう思い残す事は何もない。


私は安心して明日を迎えられる。


本心からそう思えた。


これから羽鳥さんと過ごせる幸せな未来を閉ざされてしまったのは悲しいが、今やりたい事は全てやれた気がする。


後から思えばあの時、こうしておけば良かったなんて思う事もあるかもしれない。


多分、それが大人になると言う事。だけどこの時間だけは一片の変更もしたくはない。


羽鳥さんの前で弱い自分を見せても羽鳥さんは優しかった。