月下の踊り子



何故、このような少女が社会に殺さなければならないのか。



その考えが引き金となった。


耐えられなくなった私は強く舞歌を抱きしめた。


舞歌は抵抗することもなくその抱擁を受け入れる。



「どうしてお前はそんなに強いんだ」

「……強くなんてないですよ」



舞歌は頭の位置をずらして私の胸に預けるような体勢を取った。



「じゃあ、どうしてお前は今、笑っていられるんだ」

「え……」

「明日、夢が終わるんだぞ。お前には確かな夢があるじゃないか。それとも志半ばで諦められる夢だったのか?」