月下の踊り子




それは悲しい未来への言葉だった。


これから知ろうとしてもどうしようも出来ない。


興味は今でも多大にある。


それを口にはしないだけで。


第一、行動で分かるだろう。



「じゃあ質問です。羽鳥さんって何でこの仕事に就こうと思ったんですか?」



私がこの職に就いた理由か……。


警察機関関係に就きたいという漠然としたイメージはあったがそんな大層な理由はない。


勉学に励んでいたらトントン拍子で今に至る。


私は舞歌の質問に対し「くだらない理由だ」と言い捨てた。



「じゃあ舞歌は何で踊り子を目指してるんだ?」

「私、ですか?お母さんに教わったからってのもあるんですが」



腕を組み、う~んと唸る。



「私の夢は私の踊りを見てくれる皆に夢を与える事なんです」



彼女は本当に綺麗な理由を述べた。


それはまるで穢れを知らない童女の様に。