月下の踊り子



美しい――。


ただそれだけしか思いつかないような光景を私は目の当たりにする。


今、この世界の前ではどんな表現も陳腐。そんな未知の世界に私はいる。


どうしてだろう。悲しくもないのに――。


少女の踊りを真剣に眺める私の頬には一滴の涙がつたっていた。