あれは遡る事、三ヶ月前。 山口はこの庭で一匹の猫を見つけた。 何て事はない。何ら変哲もない普通の野良猫だった。 人が近付けばすぐ逃げる賢い猫。 その猫は山口が庭に来る度にいつも同じ場所で日向ぼっこをしていた。 愛着が沸いたのかどうかは分からない。 ただ次第に山口はその猫が庭にいるのが当然の様に思えてきた。 そんな或る日、猫は誰かの手で頭を撫でられていた。 人が近付けばすぐさま逃げる猫がどうして。 そう思った山口は猫の頭を撫でている人間に近付いた。