月下の踊り子





☆間奏☆





「私もだ」



羽鳥さんは短くそう答えて、去って行った。


頬が熱くなる。


きっと私は赤面しているだろう。


あまりに非道い。


眠れと言っておきながらそんな言葉を言うなんて、余計、目が覚めてしまったじゃないか。


羽鳥さんの姿はもうない。


私はベッドに座って外を眺めた。


既に空は明るくなっている。


眠れと言われたけれど今日は起きている事にしよう。


流石にこの時間に寝てしまったら起床時間に起きれる自信はない。


そっと唇に触れてみる。


未だに頭から離れないあの感触。


一見冷たそうに見えるけど、とても優しい所とか、不器用だけど一生懸命な所とか、今は彼の全てが愛しい。