月下の踊り子






「はい。すみません羽鳥さん」

「そうか、所でお前は――」

「ずるいです」

「えっ?」

「私も香川舞歌というお母さんが付けてくれた名前があります」

「そう、だな。悪かったな舞歌」

「…………」



名を呼ぶと少女は顔を真っ赤にさせてこほんっと咳払いをした。



「どうした?」

「い、いえ何でもありません」

「その踊り。誰から習ったんだ?」

「お母さんです」



少女は笑顔で答える。


しかし師が母と言うのはどういう事なのだろう。


山口に聞いた話ならば舞歌は孤児院にいたはずなのだが。



そんな疑問を抱いていると、