「え……」 ターンの瞬間、目が合うと少女は全ての動きを中断させた。 気まずそうな上目遣いで私の顔を見る。 「すみません看守さん。騒がしかったですか?」 「いや、素晴らしかった」 少女は虚を衝かれ、きょとんと丸い眼を更に丸くする。 少女の顔は口を「あ」の形に開いたまま、嬉しいのか悲しいのか表現の仕方が出来ない微妙な表情になっている。 そんなに自分の言葉が意外だったのだろうか。 「それに、私は看守ではなく羽鳥淳二という名がある」 「…………」 少女はくすりと微笑む。