「ふぅー……」
煙草を揉み消すと机にばら撒かれたカードを片付ける。
ふと、コツン―と地面を踏む音が聴こえた。それは軽快なステップ音。
こんな時間に誰だと内心呆れながら電灯を持ち、音のする場所へと向かった。
一つの牢獄の前に立つ。
番号は六十七番。そこは異世界の扉だった。
月明かりのスポットライトを浴び、優雅に舞う少女の踊りは素人目から見てもどれだけ素晴らしい物か容易く理解出来た。
少女の軽やかなステップは見る人を虜にする。
魅惑の魔法にかけられた私は眼が離せる訳がなかった。
いち、にっ、さん
いち、にっ、さん
その拍子を頭の中で刻む。
一点のズレもなく、少女は優雅に舞う。

