「――――日和、こっちだ。早く来い」
「ま、待ってよぅ!」
フェンスの上で日和が泣きそうな顔で俺を見る。
あー、もう。
見つかったらどうすんだよ。
あのあと俺たちは、先公に見つからないように校舎を抜け出した。
そこまではいいが、最後の難所がある。
生徒用の駐輪場が、不運にも職員室の目の前にあるのだ。
のこのこと出て行けば、必ず見つかる。
そういうわけで、ちょっとサバイバルな道を使ったのだが…
馬鹿が。
早く来いっつの。
小さく舌打ちをし、フェンスの下に駆け寄った。
「陽ちゃぁん…っ」
「分かったって。受け止めてやるから、早く来い」
大きく手を広げながらそう言うと、ふるふると日和は首を振った。
「ゃ、やだぁ…怖いもん」
大きな瞳から、今にもこぼれそうになっている涙。

