「陽ちゃん、行こっ!」
明るく優しい声に隠れた目的は、もう分かっていた。
「…授業はどうする?」
「サボる!」
堂々とそう宣言した日和に苦笑した。
誰だよ。
俺に授業をサボるなと、喚いていたヤツは。
クッと小さく喉を鳴らし、俺は立ち上がった。
「ほんとにいいんだな?日和」
「うん!」
「おばさんに叱られるかもしれねぇぞ?」
「大丈夫だよ。だって…」
“陽ちゃんが隣にいてくれるでしょ?”
屈託のない笑みを見せ、俺を見上げる日和。
俺はその小さな手を握り、引っ張り上げながら、こう返す。
「…当たり前」
日和は俺の言葉に嬉しそうに笑い、キュッと俺の手を握り返した。

