「あんた、もうすぐ死ぬよ。」

それは、音のない声だった。
いや、正確には、音の起伏も、感情の起伏も感じさせない、冷たい声。

強い海風にも屈することはなく、そこに彼は佇む。
振り返れば、表情の読み取れない無表情の同年代くらいの男の子が立っていた。
しっかりと、私を見据えながら。


「どういう、意味ですか。」


震える声で問えば、またもや彼は嗤う。


「あんたは裏界にふれてしまった。あいつは必ずあんたを殺すまで、今まで以上に壊し続ける。すべてをな。」


――ゾクリと背筋が泡立った。裏界? なにそれ、私知らない。でも…

なんで、どうして知っているの。
私の毎日に、異変が起きていることを、なぜ。


「それは、俺が裏界の奴と同化したから。…ってもまあ、あんたには裏界がわかってないんだろ。」


すべてを知っているように、彼はまた嗤う。
隠せない。すべて、彼は知ることができるんだ。

おもわず威嚇するように彼を睨みつけた。

「そんなに警戒すんな。取って食いやしねえよ。……でも、このままだと、家族や友達も死ぬことになるぜ?」



「―――――!!」


それは、私にとっての死刑宣告。