お金と私と彼と


「ピッタリやん」
大和は黒いワンピースに身を包んだ美麓を見て驚いた。

「…ピッタリだよね」
美麓自身も驚く。

「大和!着替え終わったのか??」

ドア越しから藍の低い声が聞こえる。
「終わったで」
大和は美麓の腕を掴んでドアを開ける。

「ピッタリやで」
大和は美麓を藍に見せる。
「……」
藍は美麓をじっと見る。

「上のトップスいらない。
後サンダル履かないで。
後髪の毛は緩く巻いて。
化粧は濃いめで。」

大和は藍が言った事をメモる。
美麓は常にナチュラルメイクなので濃いめのメイクは不安だった。

「…濃いメイクは嫌か」
藍は美麓の考えを悟る。

「いや…似合うかどうかの問題で…」
美麓はあははと軽く笑う。
「大丈夫よ。お顔立ちが美しい人は濃いメイクだって似合うわよ」

藍の目の前のテーブルにコーヒーを持ってきた女性が言った。
その女性は濃いめのメイクが良く似合う黒いショートヘアーの長身女性だ。

「…そうだな」
藍はコーヒーを飲む。

「あ…私はREADYのメイク等を担当している綾瀬杏南って言います。
藍とは幼なじみで、雇ってもらいました」