『ただいま』

あれから二時間、
皆起きてるのは
分かっている。

『お帰り』

真っ先に玄関に
来たのはマー君だった。

『ちょっと
出掛けてくるねって
何処に行ってたんだ?』

心配そうなマー君に
さっきまで居た
ファーストフード店の
袋を渡した。

店を出た時、
十一時だったから
朝昼兼ねて買って来た。

『適当に
買って来たら
好きなもの選んでね』

私は洗面所に行き
手洗いうがいをして
部屋に戻り着替え
リビングに戻った。

マー君と絢菜のは
好みを知っるけど、
他の皆は知らない。

そんな久しぶりに
ファーストフードを食べた
三日後、今度は
理香から電話が来た。

この日は、特に
何かしてたわけじゃなく
昼間からマー君と一緒に
家でのんびりと
映画を見ていた。

『おい華蓮、
携帯鳴ってるぞ』

ソファーに
置きっぱなしだったから
映画を一時停止して
立ち上がった。

『理香、どうしたの?』

三日前の
琴羽とは違い
泣いているみたいだ。

内心焦る……

ただ事じゃないと
感づいたのか、
マー君が口パクで
「どうした?」と言った。

それに、答える様に
私も口パクで
理香の様子が
可笑しいことを伝えた。

『家に呼べ』

頷き、電話越しに
理香に伝えた。

一時間後、
理香が来た。

『いらっしゃい』

「お邪魔します」

弱々しい声で
挨拶の言葉を述べた。

座った理香の前に
緑茶とクッキーを置いた。

『食べてね』

話しを聞くのは
少し落ち着いて
からの方がいい。

理香が来てから
更に一時間後、
私たちが聴く前に
口を開いた。

「華蓮、佐川さん
私の話し聞いて
ほしいんだ」

それは勿論、
聴くに決まっている。

『何でも話して』

理香の向かい側に座った。

聞く態勢は
整っているんだけれど、
とても言いにくそうだ。

一度私たちを
チラッと見て、
やっと話し出した。

「最近、パパ達が
喧嘩することが
増えて、離婚するとか
言い出したんだ……」

だから、
さっきの電話でも
元気がなかったのか。

「私だって、
二十歳過ぎてるし
そんなことでって
思うんだけど
あんなに仲の良かった
パパ達が離婚なんて
信じられないし、
どっちに付いていくか
なんて考えられないよ」